大人の選択

肩の力を抜いて飛ぼう!

「ラグジュアリーな、大人のためのレクレーショナルグライダー」

その名は「Relax(リラックス)」

Relax フライトインプレッション

 by EXE 山本貢

日本唯一の国産ハーネスメーカー「EXE」の山本貢さんにリラックスのフライトインプレッションを書いていただきました。

EXEのホームページはこちら

山本貢氏

次々と新鋭機を発表してくる、あのイタリアのイカロ社が今回リリースしてきた、シングルサーフェースグライダー「RELAX」。

最初に申し上げておくが、このグライダーは決して初級機として開発された機体ではない。
もっとも、その軽いハンドリングに安定性、素直な操縦性は初級機としてももちろん使えるであろう。
しかし、この機体が開発された目的は、キャリアのあるフライヤーのレクリエーショナルフライトを目的としたものである。

それだけに、グライダーの造りも全体に渡って高級感を漂わせるものをもっており、実にシングルサーフェース機でありながらカーブドチップ、バーティカルスタビライダーも装備する個性豊なグライダーである。
そんな、ちょっと変わった趣をもったこの「RELAX」を、今回はレポートしてみたい。

セットアップ
RELAXのセットアップは、最近のグライダーの例にそむくことなく、やはり、簡単に行えるように工夫されている。
スピードベースバーをエアロタイプのアップライトに取り付け、コントロールバーをくみ上げ、グライダーをひっくり返し翼を広げる。
次にバテンを挿入するが、このRELAX。
やはり、全てフリップバックのバテンが採用されている。
この辺はいかにも最近のグライダーらしい。

軽い力で引けるクロスバーテンションワイヤーを引き、従来のイカロ機と同様の金具にとめて、ネオプレーンのカバーをかぶせる。
この機体の特徴であるカーブドチップを取り付け、次にノーズワイヤーを留めるが、なんとこのRELAX。
イカロの最上級機でも採用されている、あの金具から出る持ち手を引き寄せると取り付け部が開く、お洒落な金具が採用されているのである。
同パーツは、完全な削り出し品で、コスト的にもかなり高価なものの筈であるが、やはり、イカロ社としてはこの機体を一般的な初級機とは差別化しておきたかったため、あえて採用したのであろう。

この機体のトレードマークとも言えるバーティカルスタビライダー、つまり、垂直尾翼を取り付けてみるが、二本のアルミフレームを組み立て、キールに差込みセールをかぶせるだけ。
後は下部のベルクロを留めて終わりと言う、至極簡単なものである。

最後にお洒落なノーズコーンを取り付けるが、これもイカロ社のこだわりか?ノーズコーン上部にはショックコードが取り付けられており、それはクロスバーにつながっているという最新の方法が採用されている。この方法はノーズコーンを無くす事が無く、しかも、フライト中ノーズコーンがはがれることもないスグレモノのアイデアである。

セットアップできた機体を改めて観察してみる。
まず目を引いたのはラフラインの処理である。
左右二本ずつあるこのラフライン。そのラフラインの間には、最近上級機で定着してきたトランスバースバテン、つまり、横渡しバテンが装備されている。
なるほど!二本のラフラインの間にトランスバースバテンを配置すれば、確かにピッチの安定性はグッと向上するはずである。

更にグライダーを観察して驚いたことが一つ。
それは、クロスバープレートが捩れない様に、丁寧にもプレートからロープをだし、左右のクロスバーにつなげられていたことだ。
確かにこうすれば左右のクロスバーが前後に捩れることも無く、その結果ヨーイングにも入りづらく、しっかりした安定性が保てるであろう。

フライト
約16uながら23キロというとても軽い機体を担いでみる。
わずかにテールヘビーを感じるが、機体重量がもともと軽いため気になるものでもない。

RELAXの名のとおり、なんのプレシャーも無くグライダーをかまえテイクオフする。
あっという間に浮き出し、まず気が付いたのは、そのしっとりとした落ち着きのあるハンドリングである。
この種の機体はハンドリングの軽さを際立たせるため、安定性が犠牲になりフラフラとした落ち着きのないハンドリングのものもあるが、このRELAXは私が乗ったシングルサーフェース機の中では、文句無く一番落ち着いた操縦性をもっている。

したがって、パイロットが不必要に動いてもグライダーは暴れるようなことは決してなく、パイロットにとって優しい特性を持った機体であるといえる。
この安定性の理由は、おそらく、この機体の特徴であるあのスタビライダー、それに、クロスバーセンター部に新しくつけられたクロスバー捩れ防止のロープが効力を発揮しているように思える。

運良くサーマルに入ったので、素直に思ったとおりに飛んでくれるRELAXでサーマリングを試してみる。
思ったとおりにピッチの操縦性についてもパイロットに優しいものを持っており、バープレッシャーは十分。ニュートラル位置もわかりやすいが、あえて浮きが良くなる様に押し出してみる。
シングルサーフェースながらカーブドチップが採用されているせいか、低速性能はかなり良く、翼端のモチも非常によいため、ついには私の腕が伸びきってしまうような低速でもRELAXの翼は持ちこたえ、確実に上昇していってしまう。
16uという翼面積もあるが、しかし、私が乗ったハンググライダーの中ではもっとも「浮き」が良いグライダーではなかろうか?
そう思えるほどRELAXの上昇性能はすばらしいものを持っている。

しかも、RELAXはシングルサーフェースでありながらカーブドチップという特徴をもっているためであろう。
翼の柔らかさの感じがとても良く、サーマル中の荒れた風の流れを適度に吸収してくれる特性があるため、それなりの上級者であればサーマルのコアが分かりやすく感じられるのである。
この特性はまさにサーマリングをこれから覚えようとしている者にとってはうってつけであるといえよう。
すばらしい「浮き」の性能。それに、パイロットにサーマルを感じさせてくれる翼の特性。それらに助けられ、一人上がりしてソアリングを楽しんだ私は、ランディングへと向かう。

高度処理時も旋回後に変に振られることも無く、落ち着いたラインを取りながらランディング場へと進入し、最後にフレアー。
フレアーの押ししろが少しだけ少なかったような気がしたが、この機体に乗る人間の体格から考えて、このへんは問題にならないであろう。もちろん、私の時も十分にフレアーは効いた。

総評
RELAXは今までのシングルサーフェース機の概念を打ち砕き、高級なつくりを持った大人のフライヤーのための機体であるといえる。
そのため、変にハンドリングに軽さを待たせず、しっとりとした安定性がありながらもイージーな操縦性を持たせた面白いものであった。

しかも、サーマル中での「浮き」の性能はピカイチ!条件がシブい時でもこの機体であれば一人上がりも夢ではないかもしれない。
また、安定性が良いことから、メーカーが許してもらえるのであれば、パワーユニットを取り付けて動力飛行用に使ってみても、丁度良い機体であるように思えた。

今はちょっと意地をはってコンペグライダーに乗っているベテランフライヤーの方々、すでに、重いグライダーを担ぐことをあきらめてツノあり高性能機に乗っている皆さん。もう一皮むけてみて、このRELAXに乗ってみれば必ず新天地が開けてきますよ!


メーカーから一言

先のレポートにもあるように、リラックスという名のこのシングルグライダーは初級者の一機目というコンセプトではなく、むしろキャリアあるハングフライヤーのセカンドグライダー、「究極の遊び用グライダー」というコンセプトである。

その名の通り、肩の力を抜いてリラックスして飛んで欲しいし、我々がハンググライダーを始めた「大空を自由に飛んでみたい。」という素朴な動機から、いつしか性能を追い求め過ぎ、ややもするとハンググライディング自体に恐怖感や不自由さを感じている人が初心に立ち返って飛ぶことを楽しむために開発された機体である。

機体重量は軽く、セットアップは簡単、取り回しや車への積み下ろしも楽で、しかもハングフライヤーの多くが懸念もしくは抵抗を感じてる「翼が潰れない。」

そして高級感あふれる素材と造りと機構は、ハンググライダーを乗り尽くした大人の感性を充分に満足させるものであると確信している。